本学初のオリンピアン。水球と学業の両立をしながら世界で活躍する選手に
卒業生/経済経営学科 稲場 悠介さん
水球界の若きエースで、世界のトップ選手のひとりとして活躍中。2021年7月には、本学から初のオリンピアンとして東京2020オリンピックに出場。 現在は、世界最高峰のイタリア・セリエA1部のパッラヌオート・トリエステにレンタル移籍中(2021年12月取材当時)。
―所属するゼミナールではどんな学びをしていますか?
テキストを使って企業経営に関することを学んでいます。そのなかで専門用語があれば調べたり、先生に聞いたりしながら勉強を進めているところです。最終的には卒業論文で水球のチームを取り上げ、マネジメントについて書こうと考えています。そのために現在は水球に励みながら、経営に関する基礎を学び知識を深めている段階です。
―東京オリンピックに出場して感じたことは何ですか?
思い通りの結果にはなりませんでしたが、とても貴重な経験ができました。そして、今回は日本で開催されたということもあり、たくさんの方に支えられて僕たちはプレーができるんだということをより強く実感しました。応援してくれたり、ボランティアとして大会の運営に協力してくれたり、本当に多くの方に支えていただいたので、そんな方々への感謝を忘れてはいけないと感じています。そしてオリンピックでの経験を活かして、これからもっと上手く、強くなれるように頑張りたいです。
―産大関係者からはどんな応援メッセージをもらいましたか?
産大水球部のチームメイトからは、「頑張ってね」「応援してるよ」と声をかけてもらい、その言葉でやる気が出ました。また、同世代の選手にそう言われたら「ちゃんとやらないといけないな」とも感じました。同世代の水球選手を引っ張っていく存在になりたいと思うので、僕が大会で結果を残したり活躍したりすることで、皆のモチベーションが上がって全体のレベルアップに繋がったらいいなと思います。 水球部の佐々木洋輔監督からは、「自分らしくプレーしろよ」と声をかけてもらいました。その言葉にとても安心しましたし、緊張せず自分のプレーをすればいいんだと、とても元気づけられました。
―現在短期レンタル移籍中の海外チーム(※)では、どのような経験ができていますか?
今までで、一番強いチームだと感じます。これまでは、試合のあとには1日半か2日ほど休みがあったんですが、今のチームでは1日のみです。1週間に3回試合をする時もあり、厳しいリーグだなということを実感しています。また、大きなクラブチームなのでスポンサーへの挨拶まわりなどもあり、いろいろな新しい経験をさせてもらっています。そして今度イタリアの小学校に、日本語の挨拶や折り紙を教えに行く予定です。イタリアにはチームがたくさんあるので、水球は皆に親しまれています。
チームメイトとは本当に仲が良く、良い関係を築けていると思います。監督とチームメイト合わせて10人くらいに、日本食を振舞ったこともあります。天ぷらとお寿司と、ラーメンです。練習が終わった後だったので、本当に疲れましたが(笑)、みんな感動してくれて大成功でした。また練習前には皆で集まって、わいわい話しながらコーヒーを飲んで練習に向かうこともあります。この良い関係性が、チームワークの良さにも繋がっていると思います。 ※世界最高峰のイタリア・セリエA1部のパッラヌオート・トリエステにレンタル移籍中 ※写真は、昨シーズンに所属していたイタリア・クイントのチームメイト
―海外での生活はどうですか?
海外で生活をしていると、言葉の壁があったり生活様式が違ったり、大変なこともたくさんあります。でもそれが自分の成長につながるし、得られるものがたくさんあると思うので、勉強になることが多い毎日を送っています。 コミュニケーションは、チームメイトの中には他にも外国人がいるので基本的に英語で話しています。イタリア語も勉強中で、僕が英語で話した事を「イタリア語ではこう言うんだよ」とチームメイトが教えてくれることもあります。 暮らしの面では、街に住んでいて近くに何でも揃っているので便利です。でも家のなかで何かが壊れてしまったり問題が起きたりしたときは、外国語でその状況を上手く伝えられるだろうかととても不安になります。でもそれも含めてすべてが経験だと思うので、楽しく過ごしています。
―新潟産業大学に入学した理由を教えてください。
学業と水球を両立して頑張りたいから、というのが一番大きな理由です。高校生の時に海外リーグに所属した際のチームメイトを見ていると、大学に行っていなかったり、卒業せず辞めたりしていて、30代になってから大学に入りなおしているという人がたくさんいます。海外で水球をやることでたくさん学べることはあると思うんですが、大学ではより専門的な学問を学ぶことができますし、セカンドキャリアも見据えて大学を卒業したいなと思いました。
富山県出身ですが柏崎には小学校3年生頃から来ていて、週末にブルボンのチーム(柏崎の社会人選手や産大生などからなる、国内トップレベルのチーム)の練習に混ぜてもらっていました。柏崎は水球のまちとして行政支援があり、たくさんの方が水球を知ってくれていて熱い声援が伝わってきますし、水球に対する思いや熱が他とは違うなと感じます。 また、柏崎は日本で唯一、海外様式で水球をするところだと思います。基礎練習をものすごくたくさんやっていて、水球のスタイルも外国寄りですし、外国の選手とも戦えるように水球を極めたい!と思ったので新潟産業大学を選びました。
―産大水球部のチームワークはどうですか?
チームワークはすごく良いと思います。今年のインカレはライブ配信動画を海外から見ていたんですが、全員が全員を想い合って、皆で支えあおうとしている気持ちがとても伝わってきました。インカレ出場校の中には強豪校もいて、そこには勝てないだろうと言う人もいたんですが、自分たちはできる!ということを勝って証明することができましたし、全員が全員のためにプレーしているというのが試合から伝わって来たので、ものすごくいいチームだと感じます。
―日本の高校生区分の水球選手へ、メッセージをお願いします。
中学生や高校生の時が、自分の体に覚えさせられる一番いい時期だと思うので、基礎を一番大事にしてやって欲しいです。特に、足練習が最も大事だと思います。僕も、中学生や高校生の時には地道な基礎練習を毎日毎日やってきたので、それが今の自分のベースに繋がっていると感じています。 基礎は日々やっているつまらない練習かもしれないですが、それが一番大事だということを伝えたいです。これをしっかりやって自分の土台を積み上げることが、将来外国の選手とも戦い合えることに繋がっていくと思います。柏崎では足練習を入念にやっていて、日本の中でも水球をやる環境としてはかなり整っているので、これまで良い環境の中で練習をやれてきたと思います。水球が好きで、水球のトップを目指す高校生の皆さん、僕は産大進学をおすすめします。
―今後の目標を教えてください。
たくさんあるんですが、直近でいうと今のイタリアのチャンピオンシップで、リーグ戦を戦い抜いてベスト4に入ることが一番の目標です。また、今後は福岡で開催予定の世界水泳や、アジア大会も控えています。前回惜しいところまでいったという悔しい思いがあるので、次も上位に入ってメダル獲得を目指して頑張りたいです。 インタビュー日:2021年12月3日