SPECIAL CONTENTS地域連携活動インタビュー
新潟産業大学では、教育・研究成果を地域社会に還元し、地域とともに発展していくために地域の諸組織・団体等と連携しています。そして地域活性化を計画的かつ組織的に推進することを目的に、学生と地域が連携して様々な活動を行っています。
地域との連携活動が地域の活性化にどうつながっているのかについて、経済学部文化経済学科「まちづくり・地方行政分野」の学生があんこジャムのPR活動に参加させていただいた『株式会社いろはや製餡所』の野澤恵子さんにお話を伺いました。
また地域連携活動に参加した学生のやりがいや実感について、文化経済学科4年生 池嶋菜央さん、経済経営学科3年生 藤村悠斗さんにお話を聞きました。(2023年6月取材)
「柏崎市を盛り上げたい」
地域連携活動に参加したきっかけ
─まずは池嶋さん、藤村さんにお聞きします。お二人の参加しているゼミと、行っている地域連携活動について教えてください。
私は権田ゼミ(まちづくり・地方行政分野)に所属しています。
権田ゼミでは地元企業の商品のPR動画を制作したり、地域住民の方とイベントの主催や運営を行ったりしています。
また、柏崎市内のイベントで地元企業とのコラボ商品を販売したり、子ども向けのワークショップやお楽しみコーナーを設置したりして、市民の方々との交流を大切にしています。
私は黒岩ゼミ(経済分析・経済予測分野)に所属しています。
2年次までの「地域理解ゼミナール」では地域産業や基盤産業のあり方、リノベーションの効果について学びました。今後は、経済分析・経済予測分野の専門ゼミで柏崎市のイベント等の経済効果について調べる予定です。
─では、お二人がまちづくり・経済に関心を持つようになった背景を教えてください。
私は生まれも育ちも柏崎市です。柏崎市の人口減少や高齢化が進んでいる現状を目の当たりにしてきました。いつしかこの現状を黙って見ているのではなく、私自身も柏崎市の活性化に携わりたいと思うようになりました。
私は高校生の時、地域のイベントにボランティアとして参加していました。その中でどのような活動をしたら地域が盛り上がるのか、経済が発展するのかに興味を持ち、考えるようになりました。
地域とつながることでやりがいを実感できる
─お二人はゼミや地域連携活動内において、自身の役割はどんなものだと感じていますか?
私は人とのコミュニケーションを取ることが好きで、ゼミ内ではゼミ長として先頭に立ち、ゼミ生1人1人とのやり取りを行ったり意見をまとめたりしています。また地域の方と交流するときは積極的に対話し、ゼミ生とも自然と対話が生まれるように働きかけており、それがコミュニケーションで地域と学生をつなぐきっかけになっていると感じています。 また、ゼミでは柏崎市出身が私しかいないので、柏崎市で生まれ育った私目線の経験談をゼミ生に共有することで地域の理解を深めるよう努めています。
私はやはり大学生としての若い力、そして地域経済について学んだことを生かし、貢献できるような行動または案を提供することが自身の役割であると思っています。
─池嶋さんにお聞きしますが、地域の方との対話を通じてどんな反響がありましたか?またそれについてどう感じましたか?
地域に出向いたときに地域の方から「あれ見たよ!」「頑張ってね!」と言っていただけるのをとても嬉しく思いました。私がゼミを通じて行ってきた活動が届いていることが実感できて、すごくやりがいを感じます。
─地域と連携する上で最も難しかったことと、それをどのように乗り越えたか教えてください。
複数の活動を同時期に進めていくことも少なくないので、スケジュールがかなり立て込むことがあります。
ですが、それぞれが抱え込むのではなく仲間と協力しながら1つ1つを確実に実行しています。1人では出来ないことでも、仲間となら出来ます。技術面でも精神面でも複数人いることで効率が良くなりますし、何より楽しいです。
─藤村さんは地域貢献の経験を通じて学んだことはありましたか?
地域においては、基盤産業がよりしっかりしていると地域産業が成り立つと学び、地域外への取り組みが必要であると強く感じました。
また、使用しなくなった施設を改革していくことは地域の活性化にとても大切だと感じました。
教員のサポートが大きな助けになった
─地域連携の経験がその後のお二人に影響を与えたことはありますか?
私は地域の賑わいを復活させるために、地域での消費活動をなるべく行おうと思うようになりました。
活動を通じて地域の企業やリノベーションされた施設を見学させていただき、誰もが地域をより良くするために様々な活動を行っているのだと実感しました。そして人口が減少している地域であっても活動次第で活性化が望めるのだと考えるようになりました。それからは、様々な活動をしているお店や企業を積極的に周りの友人や知人にも紹介しています。
地域連携活動を始めてからつながった方がとても多く、様々な人と交流する機会が増えました。それが自分自身のコミュニケーション能力により磨きがかかっていると感じます。もちろん今でも一緒に活動したり交流したりが続いています。ゼミの活動イベントで出店していると、これまでに関わらせていただいた方々が立ち寄ってくれることもあり、とても嬉しく思います。大学内では同世代の学生、そして教職員だけとの関わりになってしまいますが、卒業して社会人になれば様々な人と数多く関わることになります。地域連携活動で培った経験は必ず今後に活きると感じています。
─地域連携活動を行うにあたって、教員からのサポートはどのように感じましたか?
ゼミでは学生主体を心がけていますが、どうしても行き詰ったときに先生の存在はとても心強いです。先生方は地域連携に関して経験が豊富なので、活動がスムーズに行えるように手厚くサポートしてくださいます。
地域の現状や課題を把握するために、様々な実例を挙げて分かりやすく解説していただいたのでとても理解しやすく、活動の大きな助けになりました。
─最後に、お二人の今後の進路希望について教えてください。
私は生まれ育った柏崎市内での就職を希望しています。これまで関わらせていただいた方々とは、学生の期間だけのつながりではなく社会人になっても継続的につながっていきたいと願っています。
私は公務員になりたいと考えています。地域の方々に信頼される人になれるように、今後もたくさんの人とコミュニケーションをとり関係を深めていきたいと考えています。
若い力に感じた
「面白いことをしてもらえるのではないか」という期待
─続きまして、地域連携活動に企業でご参加いただきました『株式会社いろはや製餡所』の野澤恵子さんにお話を伺います。まず、野澤さんが地域連携活動に関わったきっかけについて教えてください。
はい。きっかけは、自社商品の「あんこジャム」の商品PRに悩んでいたところ、柏崎信用金庫様より新潟産業大学の権田恭子先生を紹介していただいたことです。それが地域連携活動に参加させていただくきっかけになりました。
─地域連携活動との関わりは初めてだったそうですが、当初の不安や心配、期待を教えてください。
新潟産業大学の学生さんに何をしてもらったらいいのか、どんなことができるのかが不安でした。ですが学生さんの若い力で、きっとなにか私たちには思い付かない「面白いことをしてもらえるのではないか」という期待も大きかったですね。
学生たちのアイディアで
「あんこジャム」のPR動画制作
─地域連携活動を通じて得たメリットは、どのようなものがありましたか?
「あんこジャム」のPR動画を制作してもらえたことは、大きなメリットでした。若い学生さんらしいユーモアあふれる作品を多数制作して頂き、商品のPRにとても役立っていますよ。
─地域連携活動で、最も印象に残った出来事はなんでしたか?
動画制作に参加させてもらえたことですね。学生さん達が考えた作品に出演させてもらって、現場で一緒に楽しい時間を過ごさせてもらいました。もちろん楽しいだけじゃなく、真剣に動画制作に取り組む熱気も感じることができました。
─学生からPRプランをプレゼンされたときの感想を教えてください。
最初に絵コンテを見た時は、面白い案がたくさん出てきてすごい!と思いましたね。ですが、それをどうやって形にしていくの?と、実現方法は全く想像がつきませんでした。
ですが学生さん達はとても熱心に考えてくださっていて、すごくまじめな方達なんだなぁと思いました。
─学生が実施した御社の「あんこジャム」のPRは、どのような効果がありましたか?
学生さんとのコラボということで何度か新聞の取材を受け、掲載された直後は大きな反響がありました。その後はチラシを配るなどで活用させてもらっています。また、イベントなどでは学生さん達が「あんこジャム」を販売してくれて、更に認知度を高めてもらっています。
地元企業と大学のつながりで
もっと活動の輪を広げてほしい
─指導にあたった教員の印象はいかがでしたか?
私が紹介していただいた権田先生は、とても気さくで話しやすい人ですね。学生さんはもちろんのこと、私たちとのコミュニケーションをとても大事にしている印象を受けました。こちらの要望をしっかりと把握していただいたうえで、その中で学生さんができることを上手く調整してくださいました。
─新潟産業大学は柏崎市にいい影響を与えていると思いますか?
柏崎市に存在する大学として、その学生さんたちが地域と連携することは柏崎市全体の活性化につながる大きな影響を与えていると思います。学生さん達は皆とても熱心なので、どんどん地域の人と関わっていってほしいです。
─最後に、野澤さんが地域連携活動の今後に期待することはありますか?
柏崎市の企業と新潟産業大学がつながることで、柏崎でしかできないこと、柏崎だからやれることに積極的に取り組んでほしいと思います。そして実践したことは、どんどん発信して活動の輪を広げていってもらいたいです。